サンプル鑑定【配偶者が苦労する命式②】

サンプル鑑定

前回、40代女性の美佐さん(仮名)の元ご主人の雅人さん(仮名)の鑑定をしましたが、今回は元お舅さん(雅人さんの実父)の鑑定をしていきたいと思います。


ディープな内容も含まれていますので、気分を害される可能性があります。
閲覧にご注意ください。

元お舅さん 喜三郎さん(仮名)享年63歳 
戌亥天中殺(宿命二中殺)

51111
車騎星天庫星
貫索星貫索星貫索星
天南星車騎星天庫星
西暦干支西方中央東方
51939乙亥-天中殺(牽牛星中殺)///
151949丙子-天中殺現象(龍高星中殺)半会//
251959丁丑-天中殺現象(玉堂星中殺)
351969戊寅/半会半会
451979己卯干合/支合干合/支合
551989庚辰(63歳-この大運で死去)洩天地比/刑天剋地沖天剋地沖
651999辛巳-準天中殺/変剋律///
752009壬午-準天中殺/変剋律/半会半会

算命学がお分かりになる方でしたら、この命式がいかにすごいかおわかりでしょう。
生年、生月中殺の宿命二中殺。
異常干支「甲戌」を二つ持ち、年柱・月柱の「甲戌」が日柱「戊辰」を二重で天剋地沖しています。
そして「墓殺格」のさらに濃い「狭殺持丘格」を持っています。
これだけの条件をもっていたなら、かなり生きにくい宿命になります。

宿命二中殺のため親、家系、社会からの恩恵は受けられません。
自分自身で道を切り開く必要があり、頼りになるのは日柱だけですので、自分自身、家庭、配偶者とその場所なのですが、激しく二重の天剋地沖で打たれ、グラグラしています。
「戊」、山である喜三郎さんの配偶者は「癸」です。
日支に「癸」が一つあり、この命式唯一の水質です。
土質に囲まれた水。水源の金質「辛」が二つ、年支と月支にありますが、水を吸い上げる大木「甲」が二つ透干し、「癸」水が非常に苦しい状態にあるのがわかります。
水源の金質「辛」がある年支と月支の「戌」が半会(「午」「寅-大運4旬目」)や支合(「卯-大運5旬目」)で火質や木質に変化してしまうと、「癸」水はたちまち干からびてしまいます。
それがこの命式にある配偶者です。

現実にはどのような生活だったかと言いますと、喜三郎さんの奥様の洋子さん(仮名・雅人さんの実母)は、大変苦労されたそうです。
喜三郎さんと洋子さんは再婚でした。(大運「戊寅」、年運1971年「辛亥」天中殺婚ですね。)
仕事が上手くいかず、職を転々とし、まともに稼ぎのなかった喜三郎さんを支え、前妻との間のお子さんの養育費は洋子さんが支払っていたといいます。
命式の「癸」水は妻ですが、「癸」水の生む木質の「甲」や「乙」は子供達になります(前妻の子供)。「癸」水は子供である「甲」や「乙」にエネルギーを吸い取られわけですから、喜三郎さんの妻は子供で苦労することになるわけです。
命式に一つある「癸」水は前妻で消化していますので、洋子さんはそもそも喜三郎さんには与えられていない配偶者エネルギー(洋子さんは当初愛人の一人でした)ではありますが、結婚した以上、配偶者の場所には入るわけですので、苦しい立場の配偶者であることには変わりはありません。
喜三郎さんに代わって養育費を払っていたという現実も納得です。

さて、喜三郎さんは異常干支を二つ持つ個性的な方です。
また、横線(現実)に貫索星を三つ持つ準鳳蘭局に入格する方です。
日干は「戊」の山ですから、その山から生まれる貫索星もやはり山である「戊」。
”動かざること山の如し”と言われる山から生まれる貫索星が三つの頑固さは相当なものだったでしょう。「天庫星」も頑固さを表す星ですから、命式に二つもあり、さらに頑固さを感じさせます。
初年期&中年期にある「天庫星」も仕事運が悪く、宿命二中殺であることもさらに考慮すると、普通の生き方は相当難しかったはずです。
命式には「狭殺持丘格」もあり、何をやっても苦労し、上手くいかなかったと思われます。
身強でエネルギーが252もあるこのような男性が何に救いを求めるか、簡単には女性でしょうね。
喜三郎さんが必要とするのは足りない水質(財星)である、お金か女性。
喜三郎さんはギャンブルに溺れることはなかったそうですが、女性は大好きで、洋子さんと再婚し、洋子さんとの間に子供が生まれた後は、他の女性の元に行き、十数年家に帰ってこなかったそうです。
この間、喜三郎さんは仕事をせず、愛人女性に食べさせてもらっていたそうです。
洋子さんは離婚せず、前妻のお子さんたちの養育費を払いながら、自分の子供たちを女手一つで育て、ひたすら喜三郎さんが帰ってくるのを待っていたとのことです。
洋子さんの元に帰ってきたときは大運「庚辰」。西方が洩天地比となっています。
家庭は安らぎの場所になります。
ですが、東方、中央は天剋地沖。
元々命式の日柱は天剋地沖の状態ですから、この大運で3柱天剋地沖状態です。
喜三郎さんが亡くなったのはこの大運です。
膵臓癌(すいぞうがん)でした。
膵臓は土性を表し、ガンは土性多寡による疾病です。
体質占技でもわかりますが、土質の多い喜三郎さんにとって、非常に罹患しやすい病気となります。
土質を剋し、抑える木性は喜三郎さんの命式にはありますが、少ない水で育っている樹木のため、あまり強くありません。
「庚」は木を切る斧です。「庚辰」大運で多い土質を剋す木は斧で切り倒され、根っこの「戌」の支も対沖で剋されています。
年運は1997年、後天運で土質を生み出す火質の「丁」、さらに土質の「丑」の「丁丑」年で命尽きました。

このような方の改善策としましては、金質を使いたいと思います。
狭殺持丘格は車騎星を剋すか洩らすことが改善策なのですが、「甲」の車騎星を金質の「辛」でまず剋します。
水分を十分にもらえない弱い木の「甲」ですので、「庚」のような斧でバッサリと切るのではなく、辛のようなハサミで優しく剋します。そして多い土質、頑固さの「貫索星」は金質に洩らしましょう。金質に洩らすと頑固さは和らぎます。金質は水質を生みますから、少ない水質も水源を確保し、ラクになります。
この命式のポイントは金質をいかに使うかと水質自身も増やすこと。
土質「戊」の方からみた金質「辛」は、調舒星の伝達本能です。(年支と月支にあります)
文芸や芸術による表現や自分独自の伝達です。
喜三郎さんには何でもいいので、表現活動をしていただきたかったです。
そして、水質を増やすならば、愛人を追い求めるのではなく、愛情奉仕の形で社会に向かって行動していただきたかったです。
喜三郎さんの宇宙盤は線になっているのですが、一領域のみに行動範囲があります。
(別名「悪魔の使者」と名前がついています。)
このような行動領域の方の配偶者は、エネルギーを吸い尽くされ、疲弊させられます。
この命式を持つ人が奉仕活動をすることで(禄存星的生き方)、配偶者への負担が回避されるのです。

表現活動と奉仕活動をしていれば、喜三郎さんの生き辛い命式も少しは緩和され、配偶者も苦労が和らいだ可能性がありました。
喜三郎さんは、家系に馴染めず、早くから家を出ていたそうです。
洋子さんとの再婚を親族に反対されてからは親族とは一切連絡を取ることはなかったそうですが、
元々喜三郎さんのご実家は地方の名士、地主であり、資産家だそうです。
ご兄弟は医者、弁護士等の職についており、地元の名士として名を馳せているようなのですが、
このような生きにくい二中殺、二重天剋地沖、狭殺持丘格などの宿命をもつ喜三郎さんは、家系の業を消化するこのご実家の犠牲者であり、また、喜三郎さんの日柱「戊辰」は三業干支の一つで、人生に自由がない「参籠の業」ですので、好む好まないに関わらず、表現活動を通したボランティアをするなどの社会に還元する役割を与えられており、業を消化する必要があったのかもしれません。


「狭殺持丘格」:日干からみて、年干(北の星)と月干(南の星)が車騎星になり、車騎星の下の支が土性になる場合、この格に入格します。
苦労するために生まれてきたような人生になる。本人の努力による成果が全く期待できず悔い多い人生を送り、死んでも死にきれない。その苦労は自分の墓に入れないほどで、色々な問題を抱えることになる格です。財産は得ることができるが、幸せと長生きに縁がないそうです。
車騎星を剋すか洩らすかが改善策になります。

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