日干が「甲」=木の命式には二種類あります。生きている木質と死んでいる木質。
生木とは甲戌、甲寅、甲辰。
死木とは甲午、甲申、甲子。
生木は、葉を茂らせ、花をつけ、実をつけて役に立ち、
死木は、材木となり、活用されるか燃えて人の役に立つ使命です。
生木は、適度な太陽(丙)と水(癸)、しっかり根を張るための土(戊、己)、生い茂った葉や枝を剪定する斧(庚)が必要です。
秋冬の木は、材木にするための斧(庚)と材木を燃やす火(丁)が必要です。
さて、今日の例題は「水多くして木腐る、流木する」です。
水が多すぎると木は腐朽していきます。
切り出された木材であれば、水の中でプカプカと浮いている流木です。
<陰占>
日 | 月 | 年 |
甲 | 癸 | 癸 |
子 | 亥 | 亥 |
癸 | 壬 | 壬 |
甲 | 甲 |
これを五行に直しますと以下になります。
日 | 月 | 年 |
木 | 水 | 水 |
水 | 水 | 水 |
<陽占>
玉堂星 | 天貴星 | |
玉堂星 | 龍高星 | 龍高星 |
天恍星 | 玉堂星 | 天貴星 |
日干「木」に対し、水性が多い宿命です。水生木(水→木)と自分が生じられる星ばかりです。金性(庚、辛)が一つもないため、切る出すことはできず、降り注ぐ雨の中、水中に根を張り必死に生きている冬の木です。太陽(丙)もなく、火性が一つもありません。根を張るための土性もありません。水と木だけの宿命です。光がないため、とても冷たく暗く寒いところで、今にも腐朽しそうな木の宿命です。
陽占でみますと、全て水性で、知恵の星、正母(玉堂星)と偏母(龍高星)の星です。
母である玉堂星は癸です。母「癸」が癸亥ということは、最高点数の12点が出る天将星です。亥が二つあるということは、母は天将星二つもちの最身強ということです。これは水の勢いがものすごく強いということ。多すぎる母の愛とでもいいましょうか・・・。本人の座下の日支には、母である「癸」が一つだけ。母が本人を支えています。つまり、このような命式の方は母によって過保護に育てられ、家系の恩恵に囲われ、担がれ、がんじがらめになって生きている状態です。(家系集印)こういう命式の方は、母から逃れられません。子離れできない過干渉の母とマザコンの子供の構図です。
木性の甲であるこの方は、命式に水性である母の愛情、過干渉、家系の恩恵が多すぎることにより、ぐらぐらしている木であることがわかります。つまり、人生が定まらない、精神不安定な人間であるということです。
女性は共感性が高いため、この方が女性の場合は母娘の共依存になりやすくなります。
母である癸の干合相手は戊ですが、命式の中には戊だけでなく、きょうだい星である己もありません。命式に一切土性がありません。つまりこの方は父親と縁が薄いのです。命式的には離別死別などで父がいない可能性があります。母子が一体化し共依存関係になった場合、それを解くカギ、役目は父性にありますが、命式に父不在。益々、母娘の依存関係を強める構図になります。
月支の子、水性が日干木性の甲を生じています。働かなくとも楽で裕福な暮らしを与えられれば、わざわざ離れて苦労をしなくとも良いと考えるようになります。こうやって自立の機会が奪われ、物質的には恵まれているはずなのに、そこには自分で自分の事を決める、自分ことは自分で責任を持つという主体性を失っていき、心が虚無感にさいなまれ、自分が何をしたいのかがわからなくなってきます。
母親は子供が欲しいという前に先取りして子供に与えると、本人が欠乏感を感じる前に与えるわけですから、子供の自由や意志を徐々に奪っていく結果になるのです。
共依存し続ける代償はとても大きいのです。依存先を失った(母が亡くなった)子供は、その先どうしたらいいのでしょうか?
新しい依存先(簡単なのはアルコールやギャンブル、薬など)を見つけるか、自滅になるかのどちらかです。これは脅しでもなんでもなく、依存というものがそれほど怖いものであり、病気だという現実です。医療に携わる方ならその現実をおわかりでしょう。
この命式は腐木であるだけでなく、生きづらさにつながる特徴がさらにあるため、そこがこの方を苦しくしています。どこにあるかお気づきですか?ヒントは戌亥天中殺です。
この命式の解説の続きは、note(有料記事)でどうぞ。
1.さらに掘り下げて命式を解説し、流木、腐木の方の生き方の改善点についても解説します。
2.関連して戌亥天中殺についても解説していますので、戌亥天中殺の解説について興味のある方もご覧ください。
3.命式の読み方、鑑定のポイントも解説していますので、実際に鑑定するときはどのようにして鑑定しているのかを知りたい方もご覧ください。