2019年10月創喜塾大阪講習会に参加して②

算命学講習会

今回の講習会では、サンプル鑑定にて、
ダウン症、発達障害のお子さんたちの命式を中心に鑑定していきました。

まず、ダウン症、発達障害とは何か以下に説明したいと思います。

ダウン症は正式には「ダウン症候群」と言われ、
染色体異常で発症する先天性疾患群のことです。
ダウン症は知的障害を伴うことも多く、外見的特徴があり、
身体的にも筋力が弱い、内臓奇形などの障害をも合わせ持つことが多いです。
現在のところ、治療法はなく、医療の発達により、
内臓奇形などの障害を伴っていても、
寿命は長くなっている傾向にあります。

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。
種類は主に、ASD(自閉症スペクトラム障害)、
ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)の3つです。
症状は人それぞれ異なります。
発達障害という言葉は、最近よく耳にするようになった言葉ではありますが、
概念として定着してきたのはごく最近のことで、
それまでは知的に障害を伴った自閉症などの知的障害
という概念と言葉はありましたが、発達障害という概念はありませんでした。
詳細はここでは割愛しますが、
診断基準ができてたきのは1990年代になってからのことで、
ここ20~30年に浸透してきた新しい障害です。
発達障害が社会問題として取り上げられ、増えてきたのは、
診断基準ができたからというのが、
大きな理由の一つになります。
1990年代以前にはなかった概念ということは、
その年代以前に子供だった人は診断をされることがありませんでした。
その人たちが大人になった現在は「大人の発達障害」として
取り上げられることもあります。
子供とは現れる症状が異なるため、自分では気づきにくく、
社会で生きていくうえで生きづらさを感じ、
二次障害(うつ病など)を発症し始めて発達障害の診断を受けることがあります。

発達障害の診断で大事なことは、発達障害に該当する症状があっても
社会生活上の困難がなければ、診断されないということです。
その場合はいわゆる、「グレーゾーン」、「隠れ発達障害」というものになります。
発達障害というものは、身体障害とは異なり、見た目にはわかならいので、
グレーゾーンにくくられてしまうと、自分は生きづらさを感じているのに、
周りには理解してもらえず、苦しむことが問題となります。

原因はまだわからず(遺伝と環境要因と言われています)、
治療法も確立されておらず、
診断基準(DSM-5やICD-10)ができたというものも、
診断はきちんと勉強した医師でも難しいと言われています。
※ADHDのみ症状軽減薬
(コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセ)があります。

と、ここまで一通り障害の内容について説明してきましたが、
幸風個人の意見としては、命式を見たからといって、
そこからその子にこれらの障害があるかどうかは判定できないと思いますし、
そういう鑑定はナンセンスだと思います。
算命学の解釈は古いものが多く、現代に対応していないように
見受けられるものもあります。
発達障害の概念ができたのはここ最近ですし、
科学的にわかっていないものを今、算命学に絡めて解釈、解明したところで、
後々「誤鑑定でした。すみません。」となりかねません。

あくまでもその子の生年月日から、
障害云々はさておき、命式からわかる育て方(貴幼法)、
才能として生かせるもの(才能占技)を通してのアドバイスはできます。
そしてその上で、障害の内容を加味し、
占技ででた育て方がやりやすいのかやりにくいのか、
才能が活かしやすいの活かしにくいのかなどという観点で、
相談者と一緒に考えていく流れの鑑定になるのではないかと思います。

その際、特性、症状がそのお子さんによって異なるので、
そこを必ず聞き出し、何が困っているのかを明確にしないと
鑑定はできないと思います。
今回のサンプル鑑定で持ち込まれたものは、
みなさん、その辺がはっきりしておらず、
アドバイスが難しかったというのが正直な感想です。

発達障害に関しては、特性の範囲は広く、発達のデコボコなので、
何ができて、何ができないのかをきっちり明確にした方が良いということ、
そして、障害ではなく、特性・個性であると相談者が捉えておくことも
大切だと思います。

算命学観点からの考察ではありませんが、
障害に関しては、世間の理解はまだ低い傾向にあると思っています。
幸風は、大学時代に障害児教育に関する勉強をし、
施設でのボランティアをしていました。
就職も障害者もしくは障害児施設関連を考えていましたが、
結局は色々事情があり、そちらの方向には進みませんでした。

また、自分の子育て中に育児サークルを設立したところ、
加入者の7割が発達障害持ちのお子さんだったという驚きの経験がありました。
発達障害児限定の育児サークルではありませんでしたが、
育て方に困難を生じやすいお子さんを持つ保護者の方は、
なんらかの活動を通して、少しでもお子さんの特性を生かせないだろうか?と
思考錯誤しているのだと感じました。

これらの経験を通して思うことは、
関わったサンプル数が少ないので、
本当に個人的な考察にはなってしまうのですが、
障害と思わず、障害を個性・特性と受け止めそれを活かしている保護者の方は
生き生きしていましたし、お子さんも真っすぐに育っておられました。
中には、学校の先生から病院での診断を促されているにもかかわらず、
事実を受け入れられず、ずるずるそのままにしておき、
お子さんの状態もよくないまま、お母様の状態もよくないまま、
家庭が崩壊しかけている方もいました。

今は、発達障害に関して色んな情報が広まりつつありますが、
ポジティブな研究結果も出ています。
それを紹介したいのですが、アメリカの組織心理学者アダム・グラントの研究です。
→ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代/アダム・グラント

「先延ばし癖のある人は独創的である。」とこの動画では語っています。
「先延ばし」、これはADHDの症状の一つです。
期限を守らなければいけないなど社会生活上ではマイナスの特性と捉えられ、
困った症状の一つです。
ですが、この先延ばしにはクリエイティブな領域においては、
とても有効な特性だと言っているのです。
先延ばしによって、様々なアイディアを巡らせる時間ができ、直線的でない思考や
予期せぬ飛躍が可能になり、創造性が生み出されるからだそうです。
ADHDの人は刺激に弱く、一つのことをしながらも
刺激から常に色んな思考を巡らせています。
思考の多動という特性です。
そのため思考は集中型ではなく、常に分散しています。
ADHDの人の困りごとの一つに集中力の無さがあり、
そのため先延ばしという症状が発生するのですが、
この分散型の思考がクリエイティブな世界では、才能になるというのです。

発達障害の人の特性は、社会生活を送るうえでは困りごとにもなることもありますが、
裏を返せばこのようにそれは才能にもなりうるということ。
子育て中に親がそのように捉えることができれば、
子供の特性を才能として更に伸ばすことも可能になると思います。
算命学での鑑定結果と、実際のお子さんの様子から才能を導きだし、
伸ばしてあげてください。
そのときに大切なことは、
特性、症状として子供が何ができて、何ができないかも明確にし、
一緒に加味しておくと
社会生活を送る上での困難も軽減することができるのではないかと思います。

発達障害児は、どのような環境におくかが大切になってきます。
コミュニケーションが苦手なのであれば、一人で完結するような仕事を選ぶなど、
将来、特性に合った環境で社会生活を送れるように促し、
教育を受けさせることも考えた方が良いです。
※幸風がかつて主催していた育児サークルの会員の中には、
ASDの子供をインターナショナルスクールに入れ、
アメリカのギフテッド教育を受けさせるという方もいました。

また、国別にみると日本は発達障害者が多いと言われています。
発達障害の診断は「社会生活に支障をきたしている」ことが前提と
先ほど言いましたが、日本の社会が単一民族であるため、
「空気を読む」とか「多様性が無く寛容な社会ではない」ため、
発達障害を持った人が生きづらく、
診断を受ける人が多くなっているという事実もあります。
生きる国を変えれば、発達障害と診断されず、
生きやすくなる可能性もあるのではないかと思います。

算命学は万能な魔法ツールではありません。
命式中の星や位相法などでその子の障害の有無なんてわからないと思います。
算命学でわかることで、活かせる部分は活かし、
科学的、医学的、社会的なこととは分けて
アドバイスをする必要があると思っています。

少し鼻息の荒い投稿になってしまいましたが、
障害という概念について間違った情報は届けたくなかったこと、
そして、日本社会が寛容で、多様性を認められる社会になれば、
障害者が生きやすくなるのだから、
私たち一人ひとりが寛大な心を持ちながら生きて欲しいという願いを込めてみました。

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